ひよこねこ

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『AKB48』はなぜ売れたのか?

 

マネーの虎』という番組をご存じだろうか?

 

「2001年10月から2004年3月まで日本テレビで放送されたリアリティ番組」であり

(wikipedia参照)

 

番組内容としては、自らの立ち上げる事業への投資を募るため

 

毎回一人の『起業家』(番組内では『志願者』と呼ばれる)が

 

『投資家』である数人の社長(番組内では『虎たち』と呼ばれる)の前でプレゼンをし

 

『虎たち』のお眼鏡に適った者だけが出資を得る、というもので

 

当然、すべての『志願者』が出資を得られるわけではなく

 

経験豊富な虎たちから、事業計画の甘さを痛烈に指摘され

 

むしろ、ほとんどの志願者が出資を得られずに惨敗する

 

番組自体を観たことはなくとも

 

「ノーマネーでフィニッシュです」という台詞だけは知っているという方もいるだろう

 

 

虎たちの大半がおそらく『成り上がり社長』で

 

眼前のテーブルには、生々しい『札束』が積み上げられ

 

「マネー成立」と相成れば、志願者に直接『現ナマ』が手渡されるという演出は

 

『バブル』の名残を感じさせつつ、次々と怒声の飛ぶ現場はまさに

 

古き良き(良いかはわからないが)時代の『リアル』であった

 

 

数々の『名物社長』の名言や迷言が生まれる中

 

志願者側もまた、『名キャラクター』が数多く登場し

 

持ち込まれた『ビジネスモデル』の中には

 

素人目に見て「上手くいきそう」と思えるものがあったり

 

「いや無理でしょ」と明らかにそう思えるものもあった

 

 

そんな中、当時は特に印象に残った『志願者』ではなかったのだけれど

 

最近とあるきっかけで、その番組を思い出す機会があり

 

そして、放送から二十年近く経った今だからこそ

 

類似したビジネスモデルが『大成功』を収めているのを知っているからこそ

 

気になった『志願者』がいた

 

 

その志願者は「アイドルをプロデュースしたい」と事業計画を持ち込んできた

 

果たして当時の『アイドル』というものが、どういった定義によるものなのかは

 

時代の経過した今となってはよく分からないけれど

 

彼の考えとしても、その当時にはない「全く新しいアイドル」というものであり

 

より具体的に言うならば、「テレビや大型コンサート会場だけで活躍するのではなく、

 

自分たちの『小屋』を持ち、そこに客を呼んで定期的にライブを行う」というもので

 

(古い記憶なので情報の正確性にはやや欠けるが、大まかな内容としてはそんな感じ)

 

番組を観ていた当時の僕としては

 

「まあ、そういうアイドルもありかな」という具合だったが

 

今となっては、我々はそういったコンセプトのアイドルこそ

 

むしろメジャーなものとして理解し知っている

 

つまり「会いに行けるアイドル」、『AKB48』だ

 

 

ここでようやく、前回の記事に話が繋がることになる

 

(前回の記事↓)

hiyokoneko13.hatenablog.com

 

AKB48』という、知る人ぞ知るローカルのアイドルグループが

 

『国民的アイドルグループ』にまで成長した理由は果たして何なのか?

 

今回はいよいよ、それについての僕なりの結論を述べさせていただこうと思う

 

 

さて、その前にくだんの志願者について

 

「会いに行けるアイドル」という言葉がまだこの世に生まれる前に

 

似たようなビジネスモデルを思いつき

 

それを実践しようと計画を持ち込んできた志願者について

 

果たしてその結果はどうだったのだろう?

 

 

「ノーマネーでフィニッシュです」

 

志願者側なのか虎たち側なのか(おそらくは中立)立場の不明な

 

唯一の芸能人枠である『吉田栄作』さんは、番組の最後でそう言った(言わなかった)

 

つまりは『マネー不成立』である

 

経緯としては、志願者はすでに自ら

 

『アイドル』となるべくプロデュースする女性たちを集めてきており

 

彼女たちにその場でパフォーマンスをさせるのだが

 

そのパフォーマンスが到底「客から金を取れるレベル」には達しておらず

 

虎たちの怒りを買ってしまった

 

虎たちの言い分を要約すると「未完成なものを見せられて不快だ」ということで

 

さきほど『吉田栄作』が番組の決め台詞を(言わなかった)と括弧書きしたのは

 

何も彼だけはそのコンセプトを理解し企画に賛成していたから、というわけではなく

 

むしろ彼は「未完成の状態でパフォーマンスさせられた」女性たちを不憫に思い

 

自ら退室を申し出たのだ(確かそうだったと思う)

 

 

つまり、「会いに行けるアイドル」というコンセプト自体は悪いものではなく

 

現に『美空ひばり』(もはや偉人と呼ぶべき方なので、あえて敬称は付けない)の

 

長男であり、虎たちの一人である『加藤和也』さんは

 

「母が晩年に考えていたことと同じ」と評していた

 

だがやはり、彼の御母堂がそうであったように

 

ショービジネスとは『完成品』を見せてこそ当たり前という

 

大半の虎たち及び『吉田栄作』からの猛烈な批判にさらされ

 

「ノーマネーでフィニッシュ」という結果となってしまった

 

 

この結果をふまえて、『AKB48』という成功例を知っている

 

現代の皆さんはどう考えるだろうか?

 

「虎たちに先見の明がなかっただけ」と

 

散々エラそうなことを言っておきながら

 

自らもチャンスをものにできなかった虎たちを馬鹿にするだろうか

 

あるいは「時代が追いついていなかっただけ」と

 

志願者が、時代を先取りし過ぎてしまったことを不憫に思うだろうか

 

僕としては、そのどちらの考えとも違う

 

(それもまた僕が現代に生きる者だからこそ、言えることなのかもしれないが)

 

 

志願者の考えるアイドル、そのコンセプトにはAKB48と決定的に違う部分

 

あるいは根本的に欠けている要素があるのだ

 

そして、それこそがAKB48が『国民的アイドルグループ』へと成り上がる

 

そのための『売り方』であり、重大な要素なのだ

 

 

もし志願者が『秋元康』だったならば

 

あるいはそれに代わる人物になりたかったのなら

 

彼はプレゼンの中で、こう言うべきだった

 

「彼女たちは未完成です

 

だからこそファンに応援されてこそ『完成品』となるのです」と

 

つまりは、『アイドル』という完成品を商品として売り出すのではなく

 

「未完成が完成へと成る」その過程をビジネスにするのだと

 

そこに客を集め、『応援』という形で商売をするのだと

 

それこそが志願者のコンセプトにはなく、AKB48だけが持つ『成功の秘訣』なのだ

 

そんな風に言っておけば、志願者は無事に「マネー成立」となり

 

吉田栄作』は退室せずに済んだのかもしれない

 

(あるいはそれでもダメだったかもしれない)

 

 

つまりは、最初から「万人受けする完成品」を売るのではなく

 

「知る人ぞ知る未完成品」をあえて売り込み

 

それを『育てる喜び』にこそ金を払わせる

 

それこそが、AKB48というビジネスモデルが成功した最大の要因であり

 

『秋元先生』の仕掛けた、壮大なプロジェクトであり

 

真の意味での『AKB商法』なのではないかと思う

 

 

そしてその手法、『売り方』は

 

あるいは『日本』でのみ有効な方法であるのかもしれない

 

海外での『アイドル』の定義は、これまたよく分からないが

 

韓国のいわゆる『アイドル』なんかを見て見ると

 

そのパフォーマンス、ダンスや歌などはそれなりに一流のもので

 

いわば『アーティスト』に「見た目の美しさ」や「愛らしさ」を付加したものが

 

『アイドル』と呼ばれているように思う

 

それは紛れもない『完成品』であり、世界に通用する『アーティスト性』である

 

だが日本におけるアイドルとは、ややその常識とは異なる

 

 

いかに歌やダンスが「下手っぴ」であろうと

 

客自らが『推したい』と思えば、彼女たちはれっきとしたアイドルであり

 

純然たる『偶像』となり得る

 

それは、あるいは日本独自の風習であり、芸能における風土であるのかもしれない

 

 

誰も知らないからこそ自分が応援しなければならない、という使命感に駆られ

 

その使命感は、劇場に「足しげく通う」という行動を伴わせ

 

「CDを買って、握手会に参加する」という義務感をもたらせ

 

そんな『ファンたちの努力』が結果として(本人たちの望む望まないに関わらず)

 

AKB48というグループを、誰もが知る『国民的アイドル』へとのし上げたのだ

 

 

『インディーズバンド』が一部の熱狂的ファンを持ち

 

『メジャー進出』を快く思わない者が一部にいるように

 

「自分たちだけが、その良さを知っている」という事実は

 

どんな『流行の最先端』より優越性を持ち

 

ファン本人たちにとっては、愛着と執着をもたらせるものである

 

 

自分の推すアイドルは、世間的に見て『絶世の美女』ではないかもしれない

 

ファンの数は少なく、あるいは一部の心無い者たちからは

 

『可愛くない』と不名誉な評価を受けているかもしれない

 

だからこそ「彼女を応援してあげられるのは自分しかいない」という

 

使命感にも似た義務感こそが、本人にとっては金を払うに値する『価値』となり得る

 

そんな『アイドル』のみならず、『ファン』をも盛大に巻き込んだコンセプトこそ

 

AKB48の成功の鍵であり、真の意味での『AKB商法』なのではないだろうか

 

 

多くの『発明』がそうであるように、発明や発見というのは

 

後の時代の者にとっては「何だそれだけのことか」と思われるものばかりである

 

だが、自らを信じ続けたものだけが『栄光』を手にするように

 

ちょっとした『気づき』に執着できる者こそが「新たなる時代の実現者」となる

 

あるいはそれは「自ら発見した」アイドルが成長し

 

「時代を担うアイコン」となる姿を見守る『ファン』たちに

 

よく似ているのかもしれない